福祉給付の対象限定化

1. 概要

高齢者福祉は「一律の配慮」から「合理的な選別」へ。
限られた財源を、本当に困っている人へ届けるために、福祉給付の対象を所得・資産状況に応じて再定義します。


2. 問題意識(Why)

  • 高齢者人口の増加に伴い、一律給付型の制度では支出が雪だるま式に増加しています。
  • 同じ「高齢者」の中でも、年収や資産の状況は大きく異なっており、必要のない層にも給付が行われています。
  • こうした構造は、結果として本当に困っている高齢者への支援を圧迫し、現役世代の信頼も失わせています。

3. 政策内容(What)

  • 高齢者向けの以下の福祉給付制度について、**所得・資産に基づく対象限定(ミーンズテスト)**を導入します:

    • 介護保険サービスの一部自己負担軽減
    • 老齢福祉年金(無拠出型)
    • 福祉灯油・交通助成・家賃補助等の地方施策
  • 一律の「年齢による自動給付」ではなく、申請型・認定型制度へ移行

  • 資産評価の簡素化とマイナンバー連携により負担を最小化

  • 地方自治体に給付対象者情報の共有インフラを整備(国主導)


4. 実現手順・制度設計(How)

  1. 各種給付制度を所管省庁ごとに再編し、「高齢者向け生活補助体系」を横断的に整理
  2. 一定の資産・所得基準(例:年収250万円超または金融資産1,000万円超など)を設定
  3. 地方自治体と連携したデータ管理・連携体制(マイナンバー活用)を確立
  4. 自己申告と情報照会に基づく自動フィルタリングと審査軽減化

5. 財源と試算

項目 想定縮減対象 試算額(年)
地方の高齢者交通・灯油・医療助成など 年間約1.2兆円 → 約0.8兆円へ縮小 約0.4兆円
介護保険サービスの軽減対象見直し 年間約0.6兆円 → 約0.4兆円 約0.2兆円
福祉年金・家賃助成 年間約0.5兆円 → 約0.3兆円 約0.2兆円

➡ 合計:年間 約0.8〜1.0兆円規模の支出圧縮が可能

➡ 圧縮した財源は、

  • 医療応能負担による「補助半減」で生じた困窮者への集中支援に回す
  • ベーシック・オキュペーションや住宅支援などの自立支援型政策に転用

6. 関連政策との連携


7. 想定される批判と対応

「制度が複雑になって、困る人が出るのでは?」

→ 申請の簡素化とマイナンバー連携によって、むしろ手続き負担は軽減します。

「所得が少なくても、資産を切り崩したくないという声もある」

→ 主たる生活資産(持ち家など)には控除措置を設けます。資産を一律に否定しません。

「切り捨てという印象を受ける」

→ 切り捨てではなく、集中して支えるための優先順位の設定です。支援額そのものはむしろ増やします。


8. FAQ

Q. 自分の生活が支給対象かどうか、どうやって分かるの?
A. 所得・資産に基づいた自己診断チェックリストを提供予定です。マイナンバー連携による自動確認も進めます。

Q. 地方の給付制度も変わるの?
A. 原則として地方自治体の判断ですが、国の制度と財政支援により足並みを揃えます。

Q. いつから変わるの?
A. 制度整理・連携整備に約2年、段階導入にさらに2〜3年を想定しています。