高齢者医療の応能負担強化

1. 概要

全世代が納得できる医療制度へ。 高齢者医療の一律負担軽減から脱却し、資産・所得に応じた応能負担を導入します。


2. 問題意識(Why)

  • 日本の医療費の約4割を75歳以上の後期高齢者が占めており、制度の維持が困難になりつつあります。
  • 医療費の自己負担割合は、1〜2割と非常に低く、現役世代との不均衡が拡大。
  • 一方で、資産1,000万円以上を保有する高齢者も多く、負担能力と支援対象が一致していない状況が続いています。

3. 政策内容(What)

  • 所得と資産に応じた医療費自己負担割合の段階引き上げ(最大3割)
  • 現行の所得基準に加え、資産基準(預貯金・不動産等)を新設
  • 公的補助額を段階的に削減し、再配分原資へ転換

4. 実現手順・制度設計(How)

  1. 医療保険制度に「資産情報連携制度(マイナンバー連携)」を導入
  2. 所得階層+資産階層による負担区分を構築
  3. 75歳以上の後期高齢者医療制度に5年間かけて段階適用
  4. 難病・障害・低所得高齢者などは免除対象とし、制度の公平性を担保

5. 財源と試算

全体目標

高齢者医療における公的補助(税+社会保険料)を段階的に半減し、若年層支援と現役世代の負担軽減に再配分します。


基礎データ(2025年想定)

  • 高齢者医療費(75歳以上):約18兆円
  • 公的負担(税+保険料):約14兆円(約78%)
  • 後期高齢者人口:約2,200万人(うち約1,900万人が被保険者)

削減効果シミュレーション

■ ケースA:保守的推定(段階導入・現実路線)

対象 人数(推定) 平均自己負担増 削減インパクト
資産1,000万円以上の高齢者 約500万人 年30万円 約1.5兆円
資産3,000万円以上の富裕層(上位20%) 約200万人 年50万円 約1兆円
高所得高齢者層全体(段階的3割負担化) 約1,000万人 年10〜20万円 約1〜2兆円

合計:1.5〜2.5兆円規模の削減が可能と見込まれます。

➡ 現実的な初期導入規模としては、こちらを第一段階と想定します。


■ ケースB:理想目標(公的補助を半減)

  • 現在の高齢者医療への公的補助:約14兆円
  • 目標:これを7兆円に抑える(約半減)

→ 自己負担増総額:年間 約7兆円

これをすべて応能負担で賄うと仮定した場合:

全体影響 人数(推定) 自己負担増額(平均)
全対象高齢者(1,900万人) 一律年36万円増 年7兆円達成
上位50%(950万人)のみ 年74万円増 年7兆円達成
上位20%(380万人)のみ 年185万円増 年7兆円達成

➡ 実現には、資産階層に応じた精緻な段階設定や、  移行期間・上限設定等の工夫が不可欠です。


財源の使途

  • 1/2 → 子ども・若者支援(教育・保育・医療など)
  • 1/2 → 現役世代の社会保険料軽減

実施前提と備考

  • マイナンバーと税務・金融情報の連携による資産把握体制の整備が不可欠
  • 所得だけでなく資産を考慮した「応能負担設計」による新制度導入
  • 制度導入は5年程度の段階移行を想定し、ケースA→ケースBへの漸進を視野に入れる

6. 関連政策との連携


7. 想定される批判と対応

「高齢者の生活が困窮するのでは?」

→ 資産・所得の少ない層は除外対象とします。真に支援が必要な人への補助は維持します。

「医療控え・受診抑制につながらないか?」

→ 慢性疾患や予防医療への支援は別途強化します。医療の質を維持しつつ、適正受診を促します。

「マイナンバー活用に抵抗感がある」

→ 情報連携は税務署を含め既に一部実施中。制度の透明性と公平性のため、段階的かつ丁寧に進めます。


8. FAQ

Q. 現役世代にも影響はありますか?
A. 社会保険料の抑制という形で間接的に恩恵を受けます。

Q. すべての高齢者が対象になりますか?
A. 資産や所得が一定以上ある方に限られます。低所得・無資産の方は除外されます。

Q. 持ち家も資産とみなされますか?
A. はい。ただし自宅不動産には評価上限や控除を設けるなど、過度な影響が出ないよう調整します。