ユニバーサルアクセス支援室の創設
1. サマリー
ユニバーサルアクセス支援室の創設 外国人・高齢者・障害者対応の困難を抱える自治体を、デジ庁内の専門部署が直接支援する。
2. 問題意識(Why)
人口構成や社会的背景の変化により、自治体が対応すべき「多様な市民」の姿は大きく変化している。 特に、外国人住民、要支援高齢者、視覚・聴覚・認知に困難を抱える人々への情報提供・手続き案内は、基礎自治体にとって大きな負担である。
しかし、自治体単位で専門スタッフを配置し、翻訳や点字、読み上げコンテンツを作成することは現実的でない。 誰もが必要な情報にアクセスできる「ユニバーサルアクセス」は、自治体任せにすべき課題ではなく、国が支えるべき公共インフラである。
3. 政策内容(What)
- デジタル庁内に「ユニバーサルアクセス支援室」を新設
- 自治体からの依頼に応じて、以下の支援を実施:
- 行政文書・フォーム等の多言語翻訳(やさしい日本語含む)
- 点字化・音声読み上げ対応のファイル生成
- 認知障害・高齢者向けのUI設計指導
- 高精度機械翻訳・音声読み上げツールの導入支援
- 提供物はオープンデータとして他自治体でも再利用可能に
4. 実現手順・制度設計(How)
- デジ庁に専門室を常設化(専任職員+外部委託チーム)
- 自治体が「情報保障が困難な文書・UI・案内」を申請
- 内容を分析し、翻訳・変換・設計提案を行う
- 成果物はライブラリ化し、全国共有できる体制へ移行
- 緊急時(災害、感染症等)は即時展開できる予備人員も整備
5. 財源と試算
- 初年度運営費:約30〜50億円(専門人材+ツールライセンス+外注)
- 中長期的には再利用可能なデータ蓄積により効率化
- 自治体単独で取り組む場合と比較して、大幅な負担軽減効果
6. 関連政策との連携
- 「自治体向けSaaS型業務プラットフォーム」内でのUI対応に協力
- 教育・福祉・医療分野の情報保障とも連携可能(厚労省・文科省等と協働)
- 公文書館の検索・読み上げ対応にも活用可能
7. 想定される批判・懸念とその対応
Q: 自治体の責務を国が肩代わりするのでは?
A: 支援は「依頼に基づく伴走型」であり、最終判断は自治体に残す。共通化と再利用可能性を重視することで、効率性と自治の両立を図る。
Q: コストに見合う効果があるのか?
A: 対象者数が少ないからこそ、自治体単独での対応が非効率。国が集中的に支援し、全体最適を実現する。
8. FAQ
Q: 民間ツールではだめなのか?
A: 民間ツールを積極的に活用しつつ、行政用に調整・補完する役割を担う。公共性と信頼性を保証する「公的な編集部」として機能。
Q: 誰がこの支援を申請できる?
A: 自治体の広報・福祉・教育・外国人支援等の部署、または首長直轄での申請も可能。