自治体向けSaaS型業務プラットフォーム提供事業
1. 概要
自治体向けSaaS型業務プラットフォーム提供事業 国が標準業務アプリをSaaS・APIとして整備し、自治体に選択可能な共通サービスを提供する。
2. 問題意識(Why)
自治体ごとに個別開発された業務システムは、分断・冗長・高コストであり、職員の業務負担とセキュリティリスクの要因となっている。 その背景には「地方自治体の自立性」があり、それ自体は尊重されるべき価値である。
しかし、ITインフラの共通化・再利用可能性の欠如は、もはや効率化や品質保証の妨げとなっている。 国は、業務インフラを共通サービスとして提供し、「選択可能な共通化」によって地方自治を支援するべきである。
3. 政策内容(What)
- 国(主にデジタル庁)が、自治体業務向けのSaaS型業務アプリ群または共通API群を開発・無償提供する
- 対象分野:住民票・戸籍・税・福祉・介護・保険・教育などの定型業務
- 各自治体は利用の可否を選択でき、**必要に応じたカスタマイズ(スキン変更・項目追加など)**も可能とする
- 提供サービスはAPI化され、他システムとの連携も可能
- クラウド上でセキュリティを確保し、災害対策・多拠点展開にも対応
4. 実現手順・制度設計(How)
- デジタル庁に「自治体業務共通化チーム」を新設
- 主要5分野(住民・税・福祉・教育・介護)の中から優先順に開発
- OSSまたはライセンス型での公開、APIドキュメント整備
- 地方自治法の枠内で「業務委託」扱いとして導入可能な制度整理
- UI/UX指針の策定と全国職員満足度評価制度の導入
5. 財源と試算
- 開発初期費:年間300〜500億円(最大5年で主要業務整備)
- 長期保守費:クラウド費・API保守込みで年100億円以下
- 各自治体の現行開発・運用費(数千億円)と比較して大幅な削減見込み
- セキュリティ強化・障害対応コストの削減効果も期待
6. 関連政策との連携
- 「実験的業務デジタル化支援制度」からの知見反映
- 「UI/UX評価制度」や「ユニバーサルアクセス支援室」との統合設計
- 公文書館政策とのAPI連携による自動アーカイブ整備
7. 想定される批判・懸念とその対応
Q: 地方自治を侵害しないか? A: 選択可能であること、改造可能であること、職員の声を反映可能にすることで地方の裁量を担保します。
Q: 地方ベンダーが排除されないか? A: カスタマイズや周辺開発を前提とし、地方ベンダーが共創パートナーとなれる設計とします。
8. FAQ
Q: 政府提供のシステムに不具合が出た場合の責任は? A: 政府が保守・監視責任を明確に持ち、各自治体の負担にならないように運用チームを整備します。
Q: 独自要件がある自治体はどうする? A: 独自要件にはモジュール追加やUIカスタムで対応できる設計とし、必要に応じてAPIレイヤで拡張可能です。